見積もりについて、事前に知っておきたいこと

ネットやチラシなどを見ておりますと、「外壁塗装○○万円」「２５坪コミコミ○○万円」というような表記を目にします。
わかる方には分かると思いますが、何か違和感を感じませんか？
実際の塗替えやリフォームというものは、経年劣化しているからこそ改修するわけですから当然のように劣化していたり、新築時の施工不良による不具合など高確率で発生しているものです。
集客方法の設定として最初から金額が決まっていると言うことは、このような状態を事前に把握することもなく『見る前から金額を決めている』ことに他なりません。
例えば、身体の具合がすこぶる悪い時には病院へ行くと思いますが、そのときにはレントゲンや血液検査、場合によってはエコーなど体内を数値化または可視化しますよね。
しかしそれらを行なわず「お腹が痛い方へ　身長175㎝・体重65㎏の方は、手術費コミコミ55万円です」「検査なし　即日手術可能」と、事前にチラシなどで集客していることと同じではないでしょうか？（保険がきくから気にならないという方もいるかも・・・）
入念に検査することで、個々のアレルギー有無や痛みの要因等を把握し的確な手術ができるはずなのに、それすら行なわない医者にかかるようなものなんです。

これはリフォームも同じこと。
“よく見ないでいきなり工事をする"ということは例えば、雨漏りしているのに修繕をせずペンキで塗りかぶせて見てない事にしたり白アリ等の害虫の出入り口を塞がずに放置して足場を外してしまう事など、根拠のない工事をすることは明白です。
だって、不具合箇所の存在を見ていないんですもの。

きちんと見ないことがダメなことであることはご理解いただけたとして、話を進めます。
見積もり時にどこをどう見るのが正しいのか？といいますと、

• 設計図書の確認（各図面や仕様書など）
• 建物の構造→築年数→改修履歴
• 日当たり具合、風当たりと雨がかり、湿潤などの立地条件
• 漏水や破損箇所の有無
• 虫害、獣害の有無
• 改修する部分の現状→状況判断→確証
• 塗装する面積→不具合の有無→状況判断→確証
• 足場の範囲→どう建てるか→干渉するものや隣接家屋の境界線などの確認

などが挙げられます。
基本的に、経年劣化している家屋において不具合がないという事はほぼありません。
入念な検査をしない、つまり一見しただけでは建物の裏側で起きている腐食や漏水のことなど分かるはずがないのです。
もちろん破壊検査をともなわない現地調査だけでは内情すべてを完全に知ることはできないのも事実ではありますが、このようにしっかりと事前確認をしてからこそ高い品質の工事をご提案できるわけであります。

ではどのような業者に見積もりを依頼するのが良いのか？答えは簡単です。
現地調査にきた業者に『有資格者であることの確認』『自宅の不具合判断を口頭で確認すること』と『どんな根拠でどう対応してくれるのか』などの大切な要素をボイスレコーダーに記録しておくことだと、業界団体やコメンテーター・YouTube等でも推奨されはじめております。
現地調査に要する時間は最低１時間は必要でしょう。
単なるペンキ工事にしてもきちんとした改修工事にしても、高額な取引であることは間違いないことから見積もりや提案をする営業マンが無知識・浅識なのはまずいはず。
ただ見て寸法を測って帰ってしまう人は論外ですよ。

そのうえで見積書などを後日提出させ、工事依頼の検討材料にすれば良いのです。
さらに、住宅に詳しい知人や親戚などに同席してもらえればなお良いのではないでしょうか。

外壁塗装やリフォームは経年劣化している事が前提で、はじめてメンテナンスという予防・修繕をする行為です。
お医者さんに診て（診断）もらう事で適切な対応（手術など）ができるのと同じく、リフォーム前にはしっかりとした有資格者に隅々まで見てもらい、その上で明確な答えを書類に残してもらいましょう。