一見しただけでは分からない『手抜き工事の弊害』

新築もそうですが塗り替えやリフォーム時、業者採択において重要視するのが金額面かと存じます。

それもそのはず、ご予算あっての工事ですから当然安いに越したことはないと言えるでしょう。

しかし、安い金額で工事を行う業者側の腹の内には「とことん早く終わらせたい」という考え方も存在し、ときに消費者の想像をはるかに超えた欠陥工事となる事が多々あるのです。

 

某所 ブロック塀の悪い例.jpg

▲予備知識もなく塗装したであろう悪い例

 

こちらのページでは、弊社が確認した中でも特に印象の強い【手抜き工事】をピックアップしていきます。

大なり小なり、安いものには何らかの落とし穴がある、ということの良い例ですので参考にされると良いかもしれません。

施工不良その1 フクレの中から・・・

こちらのご物件には、外壁から外構に至るまでとても多くのフクレがありました。

 

外構 フクレ 63.jpg

▲塗膜にフクレが目立つ、外構のようす

 

フクレが起きる要因は多く存在するのですが、構造〜塗布材料・含水率〜施工時の気候まで、実にたくさんの事を理解していなければ塗膜膨れを避けることはできません。

 

街中の住宅の壁面でよく見かけるような小さなものから、壁全体に発生している多数のものまで、多くのオーナー様が落胆するような、フクレやハガレ。

塗装業者を相手取り、裁判沙汰が多いのもこんなことが原因かもしれませんね。

 

今回も気になった部分全面を除去(膨れているものから今後膨れてくるであろうものまで)している際に、とても看過できないものに出会ってしまいました。

 

63 中身.jpg

▲剥がし始めた旧塗膜の中に『根』が生えている

63 全景.jpg

▲色々な所に隠れ根あり

 

旧塗膜の中から植物の根が出てきました。

しかも根は現在進行形でコンクリート下地にしっかりと張り付いています。

 

考えられる原因として前回施工した塗装業者が、

● 高圧洗浄を適当にした

● 下塗りを塗っていない

● 未乾燥

● 根が生えた上にペンキを塗った   など

 

手抜き工事以外考えられる要因は皆無に等しく、残念ながら無責任な業者としか言いようがありません。

これに関して言うと、もはや「剥がしてみなければわからない」としか言えませんし、見積り段階では確認することができません。

 

ご縁があり工事依頼を頂いたのちの工事でしか、この部分を発見・是正することが出来ないのです。

しんあいペイントでは上記のような『何となく怪しいな・・』→『全面隈なく探し出せ』といった施工基準を設けており、見落とすことが無いよう心して作業に当たっています。

 

以下、弊社の下地処理のダイジェストです。

 

63 樹脂モルタル.jpg

▲根および死膜撤去後、下地強化〜モルタル補修

 

63 パターン付け.jpg

▲乾燥・硬化〜肌合わせ(ここまでが下地処理)

 

フクレの確認〜上記までの下地処理を行ってから初めて『一般の塗装作業』に入ります。

このように、見えない・気が付かないような場所も決して見落とすことなく、また再発防止に尽力することで、お客様をはじめ建造物へのご恩返しができる、大げさでなくそう断言できるのです。

施工不良その2 水をため込んだ防水

漏水を防ぐためにある【防水】

本来、抜群の防水効果のあるものですが、新築時または改修工事の際、施工する職人さんのやり方次第では時として仇となる事があります。

 

 

立ち上がり 貯水1.jpg

工事途中の養生テープを貼ったベランダ防水

 

 

画像ピンク色のものは養生用のガムテープ(上の外壁を塗装するためのマスキング)、塗り替え工事のワンシーンです。

一見何の変哲もないベランダ防水の状況ですが、いつもの勘が働きました。

 

IMG_4118.jpg

指で押している部分は『立ち上がり』 風船のような感触

 

ベランダ床から外壁にかけて立ち上がっている部分に違和感を覚えました。

 

立ち上がり 貯水2.jpg

切り込みを入れ、排水を促してみる

立ち上がり貯水3.jpg

大量に出てきた液体。このような状態にも気が付く・気が付かないは職人次第

 

ここで無視してしまっては建物の為にならないので急遽切り込みを入れることにした所、案の定出てくる雨水。

しかもそれはヌメリを伴っている水です。

性質が変わってきている確たる証拠。

『防水層の中に入り込む雨水』というのは、ちょっと考えものです。

なお、当概住宅はコンクリート造でしたのでこのまま放置は不親切であることから、一旦撤去することにしました。

 

立ち上がり貯水4.jpg

めくってみると残念な結果に

 

剥がした防水の裏にあるのは、旧壁面でした。

おそらくは一回前の塗り替え工事の時に、防水床をかさ上げしたものと思われます。

これは非常に危険な施工法であります。

まず最も重要な、【水切り】がないのは残念ですね。

そして立ち上げた防水(今回剥がした部分)と外壁の境目にはシーリングのみが打ってあり、一旦すき間が開いてしまえば雨水の侵入経路が確保されてしまいます。

これでは経年考慮がなされていません。

 

やはり施工業者としては1次防水のみならず、最低限2次防水のことまでは工事科目に入れておくべきであると言えます。

このように、何年もたってから露見してくる非常に厄介な事例があとを絶ちません。

 

新築工事をはじめリフォームや塗り替え工事に至るまで、行政主導のもと採点制度等何らかのペナルティを採り入れなければ、この業界特有の「その場さえ良ければそれで良し」という悪習は無くなることはないでしょう。

施工不良その3 雨水の引き込み口

ほとんどの家にある軒裏天井、建築現場ではこれを略して 【軒天-のきてん-】 といいます。

この軒天、建物の上部にあり、その細かな部分までは地上から確認することは困難であります。

 

O様邸 軒天.jpg

大多数の家にある、【軒天】


この軒天ですが、一見なんの問題も無いように見受けられます。

しかし、メンテナンスのプロが見ると十中八九、問題だらけだったりします。

 

O様邸 軒天すき間 施工前.jpg

妻側と平側の軒天が交わる場所にある、直立した軒天

 

今回の施工不良は、上記の画像が対象です。

このような部分には問題が潜んでいることが多くあり、最初に行う現地調査(見積り)の時点で、特に注視する場所でもあります。

画像を見る限りよくある光景で、とくに、地上もしくはベランダからではその異変に気がつきにくい部分であり、お客様が建築にくわしい方でない限り、見落としてしまう場所でもあります。

それでは、至近距離から見ていきましょう。

 

O様邸 軒天すき間 アップ.jpg

赤丸内にある、タテに走る亀裂

 

亀裂があるのが確認できます。

この亀裂、切削施工を行なった結果、新築時から存在していることが明らかになりました。

そして、このすき間から雨水が浸入し続けており、周辺の建材(破風・幕板、釘、軒天など)を侵食しているのがわかります。

侵食の最たる理由は、新築時にすき間を埋めず塗装工事をし、結果として長年放置せざるを得なかった事です。

これではまるで、雨水を内部に引き込むための隙間をつくっているのではないか?と、疑ってしまうほどです・・・。

それでは、どのようにするのがベストなのでしょうか。

以下がその答えです。

 

O様邸 軒天すき間部分 シール後.jpg

『すき間を塞ぐ』

 

非常に単純明快で恐縮ですが、すき間を作らなければ良いのです。(先に記載した赤丸以外の隙間にも完全シーリング済み)

これは開いている部分を適宜塞ぐのがセオリーで、さらに新築時にしっかりと施工していれば尚よし、なのです。

塞ぎ方として、

1 亀裂幅に応じて、切り込みを施す(Uカットなど)

2 浸透性の高い専用下塗りを吸い込ませる

3 シーリングなど奥に向かって可能な限り充填する

ということが挙げられます。

逆を言えば、充填量が少なかったり付着性の少ない施工をしてしまえば、雨水浸入の再発を容易に誘発してしまいます。

もし、すでに傷んでいる場合さらに内部へのダメージが酷くなることが一般的で、大がかりな修繕工事をする必要が考えられる事からしっかりと押さえておきたいポイントだと言えるでしょう。

 

したがいまして、

●新築の際には、各所隙間が空いていないか、必ず施工会社に確認すること。

●塗り替えの際には必ず、塗装業者等に確実な『すき間埋め』をお願いすること。

が、肝要となります。(雨仕舞いとして埋めてはいけない隙間などもあるので注意)

 

そして、遅くとも10年に一度は雨漏り工事のプロにメンテナンス依頼をすることで、普段見ることの出来ない『進行型劣化』を発見することができ、お住まいに安心をプラスすることが可能となります。

これが、建物を維持する秘訣であることに間違いはございません。

施工不良その4 一次防水劣化時、壁内を荒らす『引き込み役』

外装にサイディングボードを用いた住宅。

 

DSCN1768.JPG

追従性のあるシーリングを同時施工することが多く、比較的揺れに強いのが特徴

 

建材にはそれぞれ長短はございますが、このサイディングボードという壁材、とても人気がございます。

人気の理由は、施工の速さや通気性付加、そして何よりも多くのデザイン(意匠性)を選べることから注文する方が多いのだと思われます。

わたくし個人的には、1次防水と2次防水との関係性 を良好に保つことができるのであれば、非常に理にかなった壁材だと感じます。(メンテナンスありき、という事)

 

ただし、新築時の施工方法に誤りや手抜きがあった際、不具合箇所の発見に大きな遅れが生じてしまうという危険をはらんでいるのも事実です。

 

IMG_8353.JPG

画像の住宅は、築年数よりも劣化度合いが大きかった

 

上記の画像、一見「ずいぶん傷んでいるなぁ・・」とは思っていましたが、いざ着手してみると案の定、いくつかの要因がありました。

(このページではそれらの要因には触れず、【一次防水劣化時、壁内を荒らす『引き込み役』】タイトルにある通りのポイントに着目していきます)

 

IMG_8427.JPG

既存の劣化シーリングを撤去した様子

 

板間目地にある古いシーリングは撤去するのが基本ですから、確実に削ぎ落していきます。

通常、画像のような青いフィルムに覆われた金属目地またはステンレスカラーの目地が出てくるのですが、今回は『出てきてはいけないもの』が出現しました。

 

IMG_8429.JPG

目地の設置不足(木質露出箇所)

 

IMG_8432.JPG

雨水が入り放題となる事は、想像に難しくない

 

流入した際の雨水を、できるだけ安全に下部へと流すための砦である目地(ハットジョイナー)が適切に配置されていない様子です。

画像ではベニヤ板のような質感の木が見えると思いますが、このような状態、あってはならない状況であります。

なぜこのようになっているのかは新築施工をしたハウスメーカーや工務店に聞いてみないとわかりませんが、水が入ってしまう状況となっている以上、私としては放っておくことができません。

さっそく、水の特性をうまく利用し、不具合の修正へと着手します。

 

IMG_8450.JPG

工程の途中風景(ピンク色の裏側は企業秘密にて・・・)

 

手抜き工事を目の当たりにしてしまった際には、複雑な方法を用い内部で造形を施すことが求められるのですが、いくつかの計算の中で修復方法を決定いたします。

その理由はこの後、こちらの目地の中へとシーリングを充填することから、『ただ単に修復(塞いでしまう事)すること』は禁じ手であり、プロとしては深く考えた上で施工内容を決めなければいけません。

重要なのは、

●2面設置であること

●上部から水の侵入があること

●裏側や内部への浸水が100%ない造りとすること・・・など。

後年おこり得るシーリング劣化を予測することも重要なポイントです。

上記を理解せずに設置してしまうと、あとあと雨漏りしてしまうのでご注意ください。

 

 

IMG_8726.JPG

シーリング〜塗装を終えた様子

浮きや反りなど、『動きのあるサイディングボード』には厚みのあるシーリングを行う必要があるのですが、ハットジョイナーの不足があるような場合、特に強調した防水加工が求められるのです。

この考え方もまた、雨仕舞いといいます。

▲このページのトップに戻る

  adpkt.jpgtop_img4.jpg