令和7年10月12日
長い事この業界におりますと様々な事例とともに多様な意見を頂くことが多くあります。
私が現地調査に赴くときでもそうでない時でも、結構な確率でお客様から言われる意見として「うちは雨漏りしていません」「白アリ被害に遭う家なんて滅多にないんじゃないの?」といったお言葉を耳にしてきました。
この時点(はじめてお会いする現地調査等の場合)ではまだ本格的な確認などしていない状態ですので、「なるほど~」などと返すのですが、実際の感覚では十中八九雨漏りしている事があり、その中でも3割弱の家が白アリ被害を確認してきた、というお話です。
弊社にご依頼下さるお客様は、8割が戸建てオーナー様:2割が不動産業者様や管理会社様で、雨漏りに見識がある方は基本的には後者の不動産業者となります。
これは不動産売買や賃貸借管理に際し、多数の事例をみてこられているはずですので間違いないと思いますが、戸建てオーナー様はどうでしょうか。
普段から家屋のすみずみまでチェックしているオーナー様ならある程度知見があるでしょうけれども、日々の暮らしに忙しい方ではなかなか家の事を気にしていられない場合が多いかと思います。
特に目立つ雨漏りの跡が見当たらなければ心配すらしないのが普通のこと。
でも、以外と壁の裏には白アリが居着いている場合もあるのです。
下記に分かりやすい事例を記載致しますが、外壁の改修工事を終えたあとの内装工事時に露見した事象を挙げます。

一見ただ単に浮いているように見える壁紙
気になるので、一旦剥がして確認してみよう

想定通り、壁紙の裏のベニアは広い範囲で腐食していた
もちろんこの手順は調査や工事前では行う事はなく、こちらからの提案に契約を締結して頂いた場合に限りますが、弊社は少しでも異変を感じた際には徹底的に調べ上げます。
この画像の場合も、そんな“変化”をご提案させていただいた時の診断によるもの。
このあとボード(当件ではベニヤ)を剥がす破壊検査を実施させて頂きました。

白アリコロニーへのトンネル『蟻道』を確認した
すでに外壁工事を実施していた最中であった事から外の雨漏りルートを把握していた背景もありピンポイントで「このあたりの漏水被害は絶対にあるはず」という考察に至り破壊検査へと歩を進める事となったものの、外壁工事前の初診時にも想定していた部分でありました。
残念だったのがこの時、オーナー様がとても驚かれたと共に落胆されていたことが印象に残っています。
外壁塗装や改修工事のように足場を組む全体工事だけでは室内側の状態を知ることはできません。
ただし、屋外の様子を知る能力さえあれば家屋内部の様子を汲めるようになるのは言うまでもなく、知識と経験が建物の悲鳴を感じ取れる、そんな風に思いながら雨漏り改修に励んでおります。
カンザイシロアリを除けば、白アリ被害というのは雨漏りから来る場合がほとんどです。
今回のような壁紙の浮きから異変を察するケースは少ないかもしれませんが、意外な事からその腐食状態を知る事は間違いなく多々あります。
被害に遭ってしまうと費用はかさみ、また大がかりな工事へと発展することが確実視されるため「うちは大丈夫」という観点は一度捨て、「うちもなっているかもしれない」と思うことができれば、違った視点で危機管理ができるはずなので是非ともご自宅のチェックをしてみて下さいね。
雨漏りは危険でありストレスにもなりますし、時として建物の不動産価値も下がってしまう事から、悩まれたら遠慮なくご相談下さいませ。
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