2024年1月9日
雨漏り被害に遭われた人なら痛感していると思いますが、直しても直しても止まらない雨漏りはストレスを越して心労というレベルにまで達する忌々しい現象でありつつも、それだけでは済まないのがこの事象であります。
天井からポタポタ、ちょろちょろ・・・それをバケツで集めては捨てるという動きを繰り返しているだけならばまだしも構造体(屋根・梁・柱・壁・床など)にしみこみ続けてしまうと腐食現象が起こります。
室内や外からは見えない場所の構造体を侵し続けるのが雨漏り最大の怖い要素であり、これは建物自体の重さ(地盤にかかる重さ)にもよりますが腐食した柱等の構造体×家の自重という単純な考え方だとしても、非常に大きな揺れが起きるのは想像しやすいかと思われます。
①建物の例:柱が腐る×屋根や壁で重い=支えきれない+揺れなど大きなエネルギーがかかる=倒壊する危険性がある
②人体に例えると:骨密度が不足している人×体重がある=支えきれない+地震が起きる=転倒する
倒壊と転倒では意味合いは違いますが両者ともに概ねこのような感覚です。
一般的な2階建て木造の重さは約40~50トン程度といわれ非常に重量があるように思いますが、実際に建物を支えているのもこの重さ(鉛直荷重)でもあります。
鉛直荷重は地盤に対する全面的な負荷でありつつ、柱などの構造体で支えています。
仮に30坪の木造住宅であれば30本程度の柱で形成されており、そのうち1本でも根元が腐食すればひずみが生じるはず。
さらにその腐食本数が増加すればひずみ→ゆがみへと進展する事は様々な家屋で証明されています。

度々目撃する例:建物の角部(入隅・出隅)の腐食
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上記画像は数ある柱の中でも位置的に重要である隅柱(すみばしら)で、ここは外壁を剥がす検査(破壊検査)で露見した例です。
このようになってしまったとしてもしっかりと交換すれば良いのですが、問題なのは“だれも気がつかないでこうなっている”場合。
壁がきれいに見え、且つ室内側からも雨漏りを目視できない場合、この部分が引き金となり傾きもしくは最悪の場合倒壊に至る可能性が出てきます。

室内および外壁側からはほぼ確認できない土台の内部まで腐食=白アリに食われている例
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また、柱も大事ですが土台もまた重要です。
画像では『屋根から柱までの荷重を受け続けている土台』が白アリにやられているものとなりますが、建物のほぼ全荷重を耐えに耐え続けるこの部位が腐食している場合、相当な不具合がある事は言うまでもないでしょう。
・・・と、ここまでの説明で伝わったかはわかりませんが、要は屋根と建物の重さを支えているのは構造体だと言うこと。
つまり構造体自体が腐食しうる環境の場合、メンテナンスを行なっていない事が大多数の要因であるため、屋根が重ければ重いほどグラっと揺れたら倒壊まで至らずともひずみやゆがみが発生し、壁などにヒビ割れが生じるのです。

構造体にかかる屋根の荷重イメージ
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まとめると、
①築年数が経過した家のメンテナンスに際し、頻繁または的確に改修を行なわないと漏水リスクが高まる
②漏水すれば腐朽→腐食が起きる
③腐食部位に含水による脆弱化や蟻害が出る
④構造体に欠損や瓦解が起きる“可能性がある”
⑤土台~屋根までの重み次第では揺れ・ひずみ・ゆがみの発生しかたに大きく差が出る
⑥結果的に、屋根外壁防水など改修工事を適切に行ないたくない方に限っては、屋根は重くない方が良い(壁量計算に準じた新築屋根の場合はこの考え方は当てはまりません)という考えができるかと思います。
先日のお見積もりの際、メンテナンス頻度を極力少なくしたいというご要望があったばかりなので、「屋根が重いと柱などに負担が掛かるので屋根は軽い方が良いんですよ」という私の考えをお話したことから記事にしてみました。
あくまでも経年時におけるメンテナンスをしない場合に考えられる懸念事由を述べたまででありますので、新築時や基準を満たしている改修時の屋根工事では重くても問題はありません、語弊があるとよろしくないので念のため。
以上、ご参考にして頂ければ嬉しいです(^_^)
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