汚い仕事と丁寧な仕事
2018.11.30 金曜日 晴れ
「この、ド下手くそ!ペンキ屋なんかやめちまえ!!」
文字にするとかなり乱暴な言い方ですが、ずっと昔にわたしが先輩職人さんから言われた言葉。
あれは今から20年以上前の少年時代、新築現場にて私が刷毛でラインを出していたときのことです。
塗装業界では、刷毛を使って細かい部分を丁寧に仕上げていく作業のことを『ダメ込み』といいます。
そのダメ込みを見た先輩からのお叱りの言葉。
超が付くほど高級店舗での塗装作業で、鍛え抜かれたスーパー職人達が己の技術を惜しみなく披露していた現場でした。
木枠だったかカウンターだったか、ずいぶんと目立つ場所にあった被塗装物を、少年の私が刷毛仕上げを任されることに。
物凄く緊張しながらも刷毛でダメ込み始めたのでしたが、恐る恐るやっていたためか冒頭のお叱りを頂くことになったのです。
なにも、本当に下手くそだったわけではありませんが先輩からすると優しさの裏返しだったのだと、今だからこそ理解できます。
その言葉で集中力が増し、真っすぐなライン出し〜刷毛目の統一された仕上げをこなしたのでしたが、汗だくになっていたことを思い出します(笑)
そんな経緯からか、わたしは塗装という仕事に敬意のようなものを感じずにはいられなくなりました。
その感覚は現在でもなんら変わりません。

外壁塗装でのダメ込み例:既存ラインに合わせつつも、できるだけ真っすぐにする事が塗装屋の使命
ただ単に『塗りたくる』仕事もありだとは思いますが、私の概念では許されません。
これはスタッフにも強要しています。
真っすぐに線の通ったラインを出せないなら、転職するしかない。
キレイな線すら出せないのなら、塗装工事はDIYでも十分なはず。

この概念は、たとえ見えない場所でも同じ

ダメ込み例:水切り板金仕上げ風景
そんな思いから、お金を頂いている以上は職人根性丸出しの仕上げ=商品を、お客様へ提供したいものです。
そして何より、丁寧な仕事は自分たちの気持ちをも澄んだものにしてくれます。
たかがペンキ職人、されどペンキ職人。
いざ行け、ペンキ職人!!(なんのこっちゃ)