屋根・外壁に、真っ黒な色をおススメしない訳
2018.5.21 月曜日 晴れ
町を見渡すと様々な色の建物があり、いくら眺めていても飽きを感じさせません。
日本の住宅におきましては、使用されている色の多くは『白』『黒』『ベージュ』『グレー』などが最も多く、家の窓を開ければこれらの色がたくさん目に入ってきます。
中には、青い壁・黄色い壁や赤い屋根などもあり、色によって街中を明るく彩っていますね。
さて、この『色』について考えておきたいことがございます。
白やグレー、ベージュなどの明るい色(もしくは淡い色)には太陽熱を吸収しにくい効果があるのをご存知ですか?
逆にまっ黒い色には【太陽熱を吸収する働き】があります。
一軒一軒では僅かかもしれませんが温暖化の促進につながる色だと言えるかもしれません。
また、高温時の真っ黒な屋根・外壁などの場合、中に住まわれている人に対し『室内熱中症』を促してしまうカラーであるとも考えられます。
毎年、夏シーズンでは室内熱中症による悲しいニュースを目にしてしまい、とてもつらいです・・・・・。
人の暮らしさえ大きく変えてしまう可能性のある『色』。
熱をためない白、熱を吸収する黒。
一体どのくらいの差があるのか確かめてみたいと思います。
たびたび行う実験ですが、今回の検証も太陽により熱くなっている白と黒の板に、レーザーによる温度測定器をあてて温度を測ってみます。
【検証名:白と黒の温度差(5月21日version)】
場所:小田原市堀之内
天気:晴れ
時間:12:31
気温:23.5℃
板の向き:南南東
遮熱効果なしの白い塗装の表面温度・37℃
同じく遮熱効果なしの黒い塗装の表面温度・57℃
1枚目の白い方の温度は37℃。
もう一方の黒は57℃にも上っています。
子供の頃におこなった理科の実験でいうところの『レンズと太陽』みたいなものですね。
光を反射しないから黒い方が焦げやすくなる、あの作用です。
以上のことから、白系のほうが熱をため込まない性質があり、逆に黒いものはカンカンに熱せられる・・・。
そうだとわかれば是非色で悩まれているお客様に提案差し上げたい。
「白に近い方が夏涼しいですよ〜」と。
でも、わたしがお客様に1から説明できるような立派な人間ならともかく、お客様の気に入っている色を覆すようなことはできないのが現実です。
真っ黒よりも少し白っぽい黒・・・・いや、それより少しグレー系・・・・できることなら明るいグレー、願わくば白に近いような淡いカラーを切望しているのが私の本音。
実際はズバッと断言できずじまいの現状。
もっとしっかり説明したほうがよいのか、それともお節介なのか・・・。
わたしはお客様のイメージ通りの色を実現したく日々考察しているのですが、多くのお客様は『黒い屋根』を希望される現実があります。
そこをペンキ屋の分際で「白です、白にしましょう!」などと、恐れ多くて言えません。
ですから100%真っ黒の選択はせず、スレートブラック色などの少しだけグレーがかっている塗料の提案をさせていただいている訳なのです。
しかしながら元々黒だった屋根を、薄い色にするようなイメージを具現化するのはとても難しいとは思います。
ですが今はカラーシミュレーションという強い味方があるご時世。
弊社も採り入れておりますので、ぜひご一考いただきたく存じます^^
ただ、シミュレーションの操作は難しい(笑)
塗装技術者の立場から言うと、IT業者か何かにシミュレーション作成の依頼をしたいほど難しいんです( ;∀;)
一昨年から採用しておりますが未だ苦戦しています・・。
最近はスタッフにお願いしてやってもらっているのですが、これがなかなか上手くやってくれています。
わたしが自分で作成するときなど、「ここ・・・どうやってやるの???」「これは何だっけ!?」など、スタッフの手を煩わすこともしばしば。
そのうち怒られちゃうんじゃないかと心配しています(笑)
────話を戻しますが、黒と白では今日時点で『20℃』近くの差がありました。
夏前にこの状況ですので、やはり黒より白の方が何かとメリットがあるのだと思っています。
「白かグレーかベージュを塗ってみませんか?すごく良いですよ」
心の底から・・・いや心の底だけでですが、こう断言します。
いちペンキ屋のオヤジが、なにをふざけたこと言っているんだ・・・!?とのお言葉もあるかと思いますが、わたしは常々こう感じているのです。