どうしても譲れないもの
2019.1.25 金曜日 くもり
人にはそれぞれ考え方や価値観があります。
真面目過ぎて「堅物」と言われるような人もいれば、適当でどうしようもない「信用できない人」もいます。
各々に多様な性格があって、これはこれで自然体なのかもせれません。
そんな価値観について自分事で恐縮なのですが、私にはどうしても曲げることのできない精神的事由がございます。
それは【人を裏切る事】であり、またそれは【自分自身をも裏切る事】とも言えます。
誰かが見ていないから・自分さえよければ・面倒くさいから・・・など、自分本位な考え方に傾向してしまうことを悪としています。
しかしながら、私は聖人君子でも何でもありません。
一介の施工店代表者に過ぎず40歳目前のごく普通の男ではございますが、人を裏切らないよう自身の心の中をオープンにして生きています。
この数年、仕事をはじめ関わる人の多くに哲学的な人が多く、自分を顧みる機会が激増したのがこのような記事を書くことに至ります。
思い起こしてみれば、いつごろから現在の考え方になったのか?なぜ自分はこうであり続けたいと思っているのか?
今年に入りその線がすべて一致することになりました。
自分なりの答えとして、『人のことが好きだからだ』と結論付けることに至った次第です。
20年も前の話ですが、一時だけ在籍していた塗装店で、塗り替え工事で入らせていただいた住宅であった出来事。
お施主様の奥様だったと記憶していますが、とても明るく優しい方でした。
「お兄さん、暑い中いつもありがとう。」「お兄さん、高いところ危ないから心配で見てられないわ・・・」
常々気をかけて下さるそのお心に、心底感謝していた事を覚えてます。
そんな時、その現場を請け負っていた塗装店の上司からこう言われました。
「片山くん、裏の壁は客から見えないから、シーラー入れるなよ」
(シーラーとは 仕上げペンキを塗布する際、ハガレ防止のために先に塗布しておく材料のこと。一般的に「下塗り材」の一種)
わたしは即答。
「いやいや、絶対にシーラー塗りますよ」「奥さん裏切ることになるから無理です」
すると上司、「お前なめてんのか?だれがお前の給料払うと思ってんだ!」
と、激高させてしまったことを思い出します(笑)
塗るものは塗る、やる事はやらなければならないし、やってはいけない事をやる必要はない。
仮にお施主様が良い人であろうとそうでなかかろうと、施工店として決まりを守らない人間には異を唱えます。
(それでもやっぱり、好きな人には尽くそうとする自分がいることも事実です)
当然そのような施工店には長居するはずもありませんが、こんな経験をはじめたくさんの人間関係の中で現在のわたしが確立されてます。
只々、気の向くままに生きるのもよし。
上手ではない生き方に誇りを持つもよし。
自らを肯定することも否定することも人生の一章だと思います。
わたしは塗装職人としても一個人としても、人を裏切らないスタイルを変えずに生きていたいと、ただ思い続けるのです。