漏水防止の『応急処置』
2019.1.6 日曜日 曇り
日々外気に晒されている外壁。
暑さ寒さに文句も言わず、ジッと耐え続けているその姿には尊敬の念に似た感情すらおぼえます。
そんな外壁ですが、時として思いも寄らないケガをするときもあります。
外壁に出来ていたキズ
こちらはOB客様のお住まいの壁なのですが、いつの間にか穴が存在していたとのこと。
原因は何だかはわかりませんが、すぐさま応急処置をすることになりました。
遠巻きには分かりにくいかもしれませんが、ずいぶんとイヤな場所にそのキズはありました。
サイディングボードの目地をつぶすような形の傷
外壁はサイディングボードなのですが、ご覧の通りジョイント部分(つなぎ目・連結部)を貫くようにして穴が開いております。
このような形で欠損してしまいますと簡単にできるはずの応急処置も少しやり方を変えなくてはいけません。
また、補修工事も大分やりにくくなってしまいます。
・・・といっても、特別難しいわけでもありませんが、まずは一先ず数日間をしのぐためのテーピング補修をいたします。
応急処置:すき間の目地内に雨水を入れない「水抜き穴付き」
赤ピンク色のものは塗装用のガムテープです。
塗装業者ではない方は大体ご家庭にある薄手のガムテープや、ナイロン製のテープなどを貼られることが多く思いますが、このような場合の応急処置には布ガムテープのほうが良いかもしれません。
その理由は、布ガムテープであれば凹凸面に対してしっかりと密着(圧をかけられるようなイメージ)してくれるのに対し、紙製またはナイロン製のテープですと表面上にしかくっついてくれません。
というのも雨が降ってしまえば滲んで取れてしまう事が考えられるからです。
目地内に穴が開いているので、その中にもテープを密着させながら排水を考慮しながらやりましょう。
・・・と、どうでもいいような解説に思われるかもしれませんが、実はこれ大切な防水上の基本なのです。
雨は上から入ってくることがほとんどなので、侵入を阻止しなければダメ。
なので水を切ることが大事なんです。
要は上から来る水分を『溜めさせない』という事が求められます。
停滞させないで受け流すことによって、内部への漏水を防止することにつながるのです。
住宅にあって分かりやすいもので言えば、水切り板金などが典型的な例です。
地面側の基礎部分と外壁の間に多く見られる『水切り』
上記のような水切り板金はすごく良い取り付け方をしています。
壁伝いに雨が上から流れてくる→受け流す→溜めない+且つ壁下から水を吸い込むこともない。
防水性能上最高です^^
逆に、水を切ることができていないと外壁に水が回ってしまうため良くありません。
上からの水を溜め続けた例
上記画像は長年の雨水を受け流さなかったため、壁内への漏水を招いてしまったもの。
原因は100%施工業者です。
こうなってしまうと壁面はおろか、内側にある柱などが含水状態となり、鉄系ならサビ・木質なら腐食が始まっています。
老朽化、シロアリ、腐朽菌の増殖など修復に時間とお金を要してしまいます。
もちろん、どうなっているのかは剥がしてみないと分かりませんので、一番の被害者は建物とお施主さんですね。
このように、水切りの意義を理解せず『やってはいけない場所・やらなくてはいけない場所への防水処理』を間違えてしまう例が後を絶ちません。
困惑するのは他の誰でもない、家主さまです。
これらを防ぐための秘訣はただ一つ。
塗り替えやリフォーム工事をする際には施工業者をはじめ職人さんの知識や意見など、質問をし続けるなりして良く確認してみて下さいね。
・・・ガムテープの話から大分それてしまいました。
常に水の動きが気になる私。
現場作業や見積時には「ここには水がどのように流れるのか」「この傾斜ならどう溜まるのか」・・・・とか、
外を歩いている時には「この木は毛細管現象によって表皮がふかふかになっている」「あの側溝の水がいつも枯れないのは道路の角度と太陽の角度が起因している」・・・・とか。
汁ものを食べている時も同じ。
常日頃からこんなことを考えている私は変態なのでしょうか(笑)