塗装の相場
2018.10.6 土曜日 晴れ
【相場とは】
相場(そうば) - 市場において形成される価格、値段その他交換比率一般のこと。レート。株式相場など。
- 比喩的に、通例や、「その状況なら大概はこうなる」という評価。
Wikipediaより引用
今日は、この相場について考えてみたいと思います。
外壁塗装工事に携わっていますと、日々たくさんの『症例』を目にします。
- 雨漏りしている屋根
- 亀裂が入った破風板
- サビの激しい鉄骨
- 崩落した板金
- 劣化の激しい、基礎など・・・
全体的・部分的問わずこれらを目撃する確率としては、約80%。
10棟中8棟ほどの割合ですね。
逆を言えば、健全(保存状態の良い屋根や外壁など)な住宅に出会っている確率は20%と言うことになります。
弊社にご依頼を寄せて下さる物件に限られてきますので、あくまでも私個人の見解ではありますが新築や築浅を除く、実に多くの建物が劣化を経験していると判断できます。
そのようなことから、お見積りやご相談・塗装工事の実施にいたるには、劣化が進んでしまった建物が多く、施工方法の提案に悩むことが多いというのが実情です。
たとえば、屋根の防水機能が無くなっているような状態の見積りを作成するときには、防水性能のある下地処理+旧塗膜の除去+乾燥時間+適した塗装方法などを加味した見積りをつくります。
ただその時に引っかかるのが、【相場金額】です。
一般的に言う相場とは、ネットやチラシ・大多数の店にある商品価格を基に「だいたい〇〇円・・・」といった、感覚的なものが根拠となっているようです。
でもこれは家電製品や車など、『すでに完成された商品』であることで相場基準がはじき出されています。
わたしは塗装業者ですから、これを塗装工事に当てはめてみると、
● 全ての建物において様々な症例がある
● 環境による臨機応変かつ的確な施工方法をする必要がある
といった、答えのないような状態から工事をはじめる『これから完成させる商品』となるため、相場基準がはっきりとしない状況からのスタートとなります。
なにが引っかかるのかというと、チラシなどで見る世間一般の塗装工事の相場というものには本当の意味での根拠がありません。
他社がウソをついていると批判しているのではなく、あくまでも目安として記載している場合がほとんどで、ボロボロになった住宅も新築間もないような健康な住宅も、同じ施工方法で塗装することはできないのです。
分かりやすく言えば、劣化の激しい家と、そうでないキレイな家があった場合、同じ価格で施工できるはずもありません。
このような場合では、普通に塗るだけでは余計に不具合が起きる
上記のことから私は、世間相場を知れば知るほど丁寧な仕事をするための見積りを作るのに躊躇してしまうことがあるのです。
昔、実際に下記のようにおっしゃられたお客様がいました。
「〇〇塗装さんでは、平米1,000円〜って言ってたわよ」
「他の業者は一式80万円って言ってたぞ。なんでお宅は100万もするんだ」
他社さんは他社さん、ウチにはウチの根拠があって計算していますので、価格の違いをご指摘いただく場合には一切の反論は致しませんが、少しだけ切なくなったこともありました。
わたしはただ、『長持ちする塗装』をしたいだけなのに、と・・・・・。
また、価格競争に打って出たとして、「ではウチは78万円で!!」などというのは簡単ですし、受注につながるでしょうけども、それは表面だけをキレイに見せる工事しかできません。
品質が下がる上、漏水・含水を防止する下地処理にまで気を遣うことができないため、やはり金額を下げるためだけの価格競争には今後も手を出さないつもりです。
以上のことから、『これから完成させる商品』を手がける上での見積り作成には熟考しております。
塗装のような工事業種の場合、相場があるようでないのが実情なのです。
ですから、業者に提示された単価や価格に疑問をお持ちになったとしたら、ぜひとも根拠について伺ってみて下さい。
それで納得できた場合にはじめて、その業者さんを選んでみて下さいね。